1/31に六本木のmorph-tokyoで開催された初音さんのワンマンライブ「BAYBAND live Tokyo」へ行ってきました。昨年6月に開催された「Pop’n Rock」に続く、二度目のバンドスタイルワンマンでしたが、今回も冬の寒さを忘れるほどの熱いステージで大盛り上がり。
新たな編成や取り組みなど、チャレンジの多い内容になっていましたが、安定した世界観を作り出し、確実にバージョンアップしていることが感じられました。『初音』のもう一つの顔としてのバンドスタイルが、着実に根ざしたと言える象徴的な公演だった気がします。
目次
頑張る人に送るエールの歌声
真冬の寒波が到来し、都内でも雨が降りしきる週末でしたが、この日は朝から晴れ間が見え、絶好のライブ日和となりました。
六本木morph-tokyoは、初音さんのもう一つの活動であるロックバンド「リブライト・ラスタンド」のライブではお馴染みの会場で、バンド編成である「初音 with BAYBAND」としても、イベントライブに出演したことがあります。
そんなバンド色の強い会場ですが、今回は約一ヶ月ぶりのワンマンライブを待ち望んでいた、多数のファンが詰めかけました。中には、普段アコースティックのライブを中心に通っているという人も、少なくなかったのではないでしょうか?
皆が固唾を飲んで見守る中、幕が上がって最初に上演されたのは、「迷路」と「負けないココロ」。重低音の効いたパワフルなサウンドも圧巻でしたが、根強い人気のある「迷路」のバンドバージョンは、ファンにとって待望の感があります。
そして、「負けないココロ」は、前回の「Pop’n Rock」でも一曲目を飾ったことで印象的でしたが、奇しくも受験シーズンにぴったりのテーマでもあり、日頃の仕事の疲れを吹き飛ばしてくれる爽快さがありました。
さらなる広がりを見せるBAYBANDの魅力
続くパートでは、初音さんの代表曲である「ホントはね」の他、「エスケープ」「やさしさのカタチ」など、ライブではちょっと珍しいポップチューンを中心に演奏。相変わらず、バンドアレンジとの相性は抜群でしたが、前回の「Pop’n Rock」と比べると、激しいサウンドを押し出すだけでなく、全体のハーモニーを大事にしていたように感じられます。
実際「夏色の恋」などは、ちょっと落ち着いたバラード風のアレンジにもなっており、初音さんの切なく情感の込もったボーカルが、よく映えていたのが印象的です。さらに、今回は新たにキーボードも加わったことで音に深みが増し、安定感のあるドラムを中心に、ギターやベースも随所でいい味を出していました。
普段は、弾き語りスタイルでライブをすることが多い初音さんにとって、ピアノやキーボードを他のメンバーに任せるシーンは極めて少ないと言えるのですが、それによってボーカルと演技により専念することができるというメリットもあります。何よりメンバーみんなの演奏に身を委ねることで、いつも以上に表情豊かに、力いっぱい歌う初音さんの姿を見れた気がしました。
BAYBANDの時は、衣装も普段とは違って、レトロポップ(?)というか、独特の世界観のものが多いのですが、今回の衣装もフリルの付いたワンピースの裾に、ピアノの鍵盤をあしらった、とびきりキュートなもの。
こんな可愛らしい衣装を、上品に着こなせる人はなかなかいないと思うのですが、これも初音さんのキャラクターのなせる技ではないでしょうか?そんなルックスで、赤いエレキギターを抱えた立ち姿が、また最高にカッコいいのです。
⇒当日の衣装やステージの様子は、初音さんのオフィシャルブログをチェック!
バンドアレンジで奏でるポップな「恋ノート」
個人的に一番のサプライズだったのは、昨年12月にリリースしたばかりの「恋ノート1」の楽曲が上演されたこと。初音さんが子供の頃に作った曲を、アレンジし直したというこのミニアルバムの収録曲は、弾き語りメインのシンプルな構成が多く、さすがにBAYBANDでは演らないだろうとも思えるのですが、そんな意外性にあえてチャレンジした試みです。
そして、それを実現するためには、主旋律であるキーボードのパートがどうしても不可欠だったと思うのです。今回新たに参加したキーボードの沙予さんは、「恋ノート」のために投入した『秘密兵器』だったとも言えるのではないでしょうか?
学生時代の片想いを描いた「となりあわせ」は、バンドアレンジになることで重厚感が加わり、よりノスタルジックな雰囲気に拍車がかかります。リズミカルに刻まれるドラムのビートが、まるで時計の針の音のようで、たちまち『想い出のあの頃』にタイムトリップした気分にさせられました。
また、エレキギターやベースのサウンドが彩る、プログレ風の「ずっとずっとすきだよ」も絶妙な味わいがあり、ストレートな恋心を、明るく前向きに歌い上げているところが印象的でした。そんな風に、アルバムバージョンとは全く違った趣きの『恋ノート』が聴けたのも、今回のライブの大きな収穫でした。
「A DAY」とはこの日のことだった?
ライブ終盤では、アップテンポな曲をメドレーで演りつつ、熱狂の中で終演となったのですが、普段ライブの締めで定番の「B.F.F.」では、いつも以上に手拍子のパートを取り入れ、今回のラストはこちらもノリの良い「A DAY」で締めとなりました。
今回は「オー、オー、オー」というイントロの部分で、みんなで声を出しながら拳を振り上げる、という新たな振りが誕生しましたが、普段のアコースティックなライブではちょっとあり得ないテンションです。そして、この曲は元々、こんな風にライブで盛り上がることを想定して作られたのではないでしょうか?
「A DAY」は、昨年3月のワンマンライブ「第41回初音茶屋」で初お披露目された時からずっと気に入っている曲なので、今回これだけの一体感の中で聴けたことは、一ファンとしても感無量の思いがあります。
初音さんの3rdアルバム「風は君の答えを待っている」に収録されている曲の中でも、特にエレキサウンド色が強いこの曲は、アコースティックなライブでは完全再現が難しいと思える曲でもありました。
それを今回、驚くほど完成度の高いアレンジとパフォーマンスで仕上げてきたことは、今までBAYBANDとして音を重ねてきた結果と、初音さん自身の成長によるものと言えるかもしれません。まさに『この日のために生まれた歌』・・、そんな風に思える瞬間に立ち会えた気がします。
夢の旅路は続く
アンコールで演奏してくれたのは、こちらも3rdアルバムに収録されている「ユメタビ列車」でしたが、この曲を選んだのは、初音さんが今と向き合う気持ちを伝えたかったからではないでしょうか?
「ユメタビ列車」には、歌手として歩み続ける初音さん自身の、現在進行形の思いがリアルに投影されていますが、新しく迎えた2016年も、ライブや制作活動に精力的に打ち込むという、決意の現れだったのかもしれません。
昨年は3rdアルバムとミニアルバムをリリースし、初のバンドワンマンやツアーライブを成功させた初音さん。恒例のワンマンライブ「初音茶屋」も、もうすぐ通算50回を達成すると予想されていますが、きっと今年もたくさんの活躍を私たちに見せてくれることでしょう。
「ユメタビ列車」と『恋ノート』シリーズの不思議なつながりについては、以前の記事で書きましたが、この曲に出てくる『想い出のラブソング』すらも、今や新たな作品として見事に完成させてしまいました。そのことはきっと大きな自信となって、次の段階へステップアップするきっかけになると思います。
癒やしの歌声を持つシンガーソングライターというだけでなく、ポップなバンドライブもこなせる初音さんの魅力は、もはや一つのチャンネルに留まりません。まだ聴いたことがないという方は、ぜひ色んなジャンルや切り口から、初音さんのライブやCDを体験してみてください。
「BAYBAND live Tokyo」セットリスト
- 迷路
- 負けないココロ
- エスケープ
- ホントはね
- やさしさのカタチ
- 夏色の恋
- となりあわせ
- ずっとずっとすきだよ
- 恋に出逢った夏
- R347
- 君が教えてくれたこと
- 毒りんごと○○
- B.F.F.
- A DAY
- ユメタビ列車(アンコール)
「BAYBAND live Tokyo」メンバー
- ボーカル&ギター:初音
- ギター:香取真人
- ベース:友重悠
- キーボード:沙予
- ドラム:長嶋貴人
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初音LIVE&イベントスケジュール
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