「風は君の答えを待っている」初音・3rdアルバム-夢追人へ贈る現在進行形の音語り

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初音さんの3rdアルバム「風は君の答えを待っている」が4/21に発売されました。約3年ぶりとなるファン待望のニューアルバムですが、レコード会社からの独立後も地道に音楽活動を続けてきた初音さんの集大成となる作品です。
辛いことや別れで落ち込んでいる時に、そっと寄り添えるような一枚でありたい・・。そう初音さん自身が語っているように、聴くと心が癒やされ、元気がもらえる曲がたくさん詰まっています。また、大切な仲間と共に時間をかけて作られただけに、アルバムとしての完成度も高く、色々な面で新たな挑戦が盛り込まれた通称『風君』は、シンガーソングライター・初音の新境地と言えるのではないでしょうか?

収録曲紹介

まずは気になるアルバム収録曲を、ひと言ずつコメント入りで紹介してみました。ぜひYoutubeに公開中のトレーラー動画と合わせてお楽しみください。

1. A DAY

突然嫌なことばかりが降りかかる波乱の日常を軽快に歌い上げる完全新曲。月曜の朝に聴くと、一週間がんばる元気がもらえそうな一曲です。アルバム収録バージョンでは、テクノ・ポップ調のアレンジが斬新。

2. 毒りんごと◯◯

見た目とは裏腹な女の子の心情を描いたファンタジックな楽曲。初音さんの声の持つ可愛らしさが引き立つ一曲です。こちらもオリジナリティ豊かなアレンジに注目。ディズニーで人気の某作品へのオマージュを読み解きながら、「◯◯」に入る回答をぜひ探してみてください。

3. ルール

切ない想いを歌わせたら右に出るものなしの初音さん定番の恋愛バラード。涙なしでは聴けない極上のバラードを、アコースティックなサウンドと共に、ぜひ堪能してみてください。

4. 旅立ちの風

希望を夢見て上京するシーンを描いた自叙伝的な作品。ストーリー仕立ての構成も去ることながら、移り変わる視点や言葉運びに深みがあります。こちらも朝に聴くと爽やかでオススメな一曲です。

5. ユメタビ列車

「旅立ちの風」の続編として描かれた夢旅シリーズの第2編。夢を追い続ける人の迷いや葛藤がリアルに表現された一曲です。ドラムンベース調のアレンジも味があります。

6. B.F.F

友情をテーマに作られたアップテンポな楽曲。ライブを大切にする初音さんならではの一曲で、ライブで楽しめるように、独特の手拍子やハミングが盛り込まれています。気分を上げたい時にぴったり。

7. クリスマスカード

初音さんの曲には珍しい初のクリスマス・ソングです。クリスマスと言っても、即物的な『モノ』ではなく、かけがえのない奇跡をテーマにしてる点が初音さんらしいと言えるでしょうか。大切な人を想いながら聴きたい一曲です。

8. 風は君の答えを待っている

本アルバムの表題作にして、夢旅シリーズの集大成と言える作品。初音さんの真価が発揮されるバラード曲ですが、自身の体験を元にした歌詞には心を打つものがあります。果たして夢を追い続ける者の行く末に何が待っているのでしょうか・・?

“Kaze kimi” music box

9. 旅立ちの風

10. ユメタビ列車

11. ルール

ラスト3曲には、ボーナストラックとして、アルバム代表曲のオルゴール・バージョンが収録されています。こちらは夜眠りにつく前に聴くと癒やされること請け合いですが、メロディーラインだけ聴いてもオリジナリティを全く損なわないのは、初音さんの作曲のセンスを感じさせますよね。

チーム初音が織りなす魅惑のサウンド

さて、各楽曲の魅力について少しは伝わったかと思うのですが、今回のアルバムはワンマンライブ・初音茶屋でおなじみのチーム初音の面々が力を合わせた、全く新しい音作りが特徴です。

よく初音茶屋でバイオリンを担当しているMIZ(PONZ)さんが、今回のアルバムではアレンジや録音という形で曲作りに参加。特に、1曲目の「A DAY」や2曲目の「毒りんごと◯◯」では、ポップサウンド溢れる作り込みとなっていて、今までのアコースティック中心の初音作品とは一線を画する世界観に仕上がっています。

また、シンプルな演奏が心に響く「風は君の答えを待っている」では、長年ワンマンライブで初音さんの脇を支える馬場一人さんがギターを担当。初音さんのピアノと絶妙のセッションを紡ぎ出しています。

ブックレットのスタッフ・クレジットには、レーベル時代のようにプロデューサー含め多数の名前が軒を連ねることはありませんが、信頼できる気心の知れた仲間と作り上げたことが窺い知れます。そして、初音さん自身がアレンジに初挑戦した作品も・・。

今は大がかりなプロモーションは難しい体制かもしれませんが、楽曲のクオリティや音源の質に関して見劣りする部分は全くありません。ネット全盛の時代だからこそ、必要な人の元にはきっと届くはず・・。そう信じて、一ファンである私も、自信を持ってこのアルバムをオススメしたいと思っています。

ジャケット裏面とブックレットのスタッフクレジット
ジャケット裏面とブックレットのスタッフクレジット

アルバムのテーマは「夢の続き」

フリーでの活動を開始して以降、初音さんは「風ノート」というタイトルで、シングルCDのシリーズをリリースしています。なので、今回のフルアルバムも、『風アルバム』とか、風にまつわる名前が付くのかな?とは思っていたのですが、実際リリースされたら思ったよりも長い名前になっていました(笑)

「風は君の答えを待っている」って、なんとなく意味深で、村上春樹さんの小説のタイトルみたいな響きがありますよね?なので、アルバムを聴く前からどんな歌かすごく気になっていたのですが、実際聴くと歌自体もとても詩的で深みのある内容だったのが印象的です。

風ノート1、2のA面である「旅立ちの風」と「ユメタビ列車」が続き物となっているので、風シリーズの表題作である「風君〜」は、その正統な続編と考えるのが順当です。夢を追い、壁にぶつかりながらも進み続けた主人公は、その後どうなったのでしょうか?

初音さん自身の(恐らく現在進行形の)体験がベースとなっているこのシリーズは、夢を抱き、挫折を味わったことがある人なら、誰しも共感せずにいられないと思うのですが、だからこそ続きが気になってしまうものです。

ぜひ、そんなところに思いを馳せながら、夢旅シリーズの素晴らしい通過点となった、この作品に耳を傾けてみてください。イントロもなく、突然歌い出しから始まり、唐突に終わるのが印象的なこの曲ですが、『まだまだ先へ続くよ』という余韻を感じさせるのが、大きな特徴かもしれません。

CDを外したジャケットの中面にも秘密のメッセージが・・!?
CDを外したジャケットの中面にも秘密のメッセージが・・!?

じんわり伝わる歌詞の魅力

表題作の「風は君の答えを待っている」は、夢や挫折といった重いテーマを扱っていながら、風や雲、星といった自然にまつわる言葉ばかりが登場し、まるで童話を読んでいるような穏やかな雰囲気があります。

これも巧みに言葉を置き換えた表現力の賜物だと思われますが、さらに歌に登場する『風』が、コロコロとその役割を変えているのも印象的です。始めは人の旅路を邪魔をしたと思ったら、時には静観し、時には手助けをする・・。

そんな『風』とは、一体なんの例えなのでしょうか?そして、最後に『答えを待っている』とは、どういうことなのでしょうか?この謎には、私はまだ答えを出せていないのですが、いつの日かふと腑に落ちる瞬間が来るかもしれません。初音さんの詩には、そんな不思議な謎かけが含まれているのです。

もちろん歌の解釈は人それぞれですが、ぜひそんなところにも思いをめぐらし、言葉の意味を一つ一つを読み解きながら、じっくり初音さんの曲を聴いてみてください。そこに、あなただけの気づきや小さな発見があるかもしれません。

アルバム発売記念となったヒトリラライブでファン一同からフラワースタンドを贈りました。
アルバム発売記念となったヒトリラライブ@北参道ストロボカフェでファン一同からフラワースタンドを贈りました。

まとめ

ファンにとっては待望のニューアルバムとなりましたが、日々の疲れを癒してくれる、初音さんの透き通るような歌声や魅力が詰まっているので、まだ聴いたことのない人にぜひ手にとって欲しい一枚です。そして作り込まれたアルバムならではの、大胆なアレンジが盛り込まれているのも大きな特徴です。

私も普段はiPhoneとヘッドホンを使って音楽を聴くことが多いのですが、このアルバムは重低音が活かせる大きめのスピーカーで聴いた方が、多彩なサウンドが楽しめるかもしれません。そして、このアルバムならではのアレンジは、足しげくライブに通っているファンにとっても新鮮なのが嬉しいポイント・・。

ライブで聴けば、バンド編成やピアノ・ソロなど、全く違った構成で同じ新曲が楽しめるのですから、一枚で二度美味しいとはこのことではないでしょうか?関東や大阪を中心に、勢力的に行われている初音さんのライブスケジュールも、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

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