ライブレポート:初音アニバーサリーワンマン「エンドロール」

このエントリーをはてなブックマークに追加


8/26に渋谷WWWで開催された初音さんのワンマンライブ「エンドロール」へ行ってきました。昨年末から予告されていた、WWWという大舞台での待ちに待ったイベントですが、ほぼ満員の大盛況・・。
新旧メンバーを織り交ぜた豪華7人編成でしたが、当の初音さんは伸び伸びとした余裕のパフォーマンスを披露。活動11年目に向けて、止まらぬ勢いを見せつけてくれる圧巻のステージでした。

「物語」の最後の一幕がはじまる

今回のアニバーサリーワンマン「エンドロール」は、2007年に歌手デビューした初音さんが10周年イヤーの締めくくりを飾るワンマンライブとして、昨年末から大々的に告知していたものです。

WWWは普段のライブの規模と比較すると、2倍以上のキャパとなるため、10周年を盛大に祝う場であると同時に、初音さんが自らに課したチャレンジの一つでもあったのでしょう。

会場となった渋谷WWWは、うだる暑さと抜けるような青空に包まれていました。

イベント当日は、夏の終わりとは思えないくらいの猛暑日となりましたが、初音さんの日頃の精力的な活動の成果もあって、新旧のファンを交えた大勢の来場客が詰めかけ、開場前から熱い期待と熱気の渦に包まれていました。

ギター2名にベース、ドラム、バイオリンにキーボードといった、かつてないほど豪華な編成のメンバーに囲まれ、颯爽とステージ中央に現れた初音さんは、純白の衣装に身を包み、さながら地上に降り立った天使のように見えました。

会場のエントランスでは、ファン一同から贈られたスタンド花が豪勢に入口を飾っていました。

ステージを舞う歌の妖精

そんな厳かな雰囲気を漂わせたまま、情感あふれるバラード「refrain〜nowadays〜」と「ユメタビ列車」を立て続けに演奏。初音さんの音楽人生を投影した曲だけに、万感の想いが込もっているようでしたが、厚みのあるダイナミックなサウンドがさらに世界観を引き立てます。

続く「恋、花火」でも、初音さんの儚い歌声に重厚感のある奥行きが加わり、音のパノラマのような心象風景を描き出していました。そんな、しっとりした楽曲をひとしきり歌い上げると、ライブでも珍しい「あした晴れたら」で、全身を使った躍動感いっぱいのパフォーマンスを披露。

限定グッズとして会場で販売されていた「エンドロール」パンフレット。映画にまつわるタイトルならではの遊び心が嬉しいですね。

その後、夏をイメージしたラブソングをメドレー形式で上演しましたが、普段のライブではちょっと見られないアクティブで愛嬌たっぷりの振り付けは相変わらず・・。

弾き語りのシンガーソングライターとしてのイメージが強い初音さんですが、元々は歌って踊れるシンガーを目指していたというだけに、ある意味こちらの姿の方が本領発揮と言えるのかもしれません。大きい舞台でこそ、活き活きとその実力を発揮できる、シンガー・初音のポテンシャルを垣間見た気がしました。

デビュー当時に比べると、すっかり大人の女性に成長しながらも、時折見せるあどけない表情が、初音さんの小悪魔的な魅力かもしれません。(「エンドロール」パンフレットより)

過去と現在が交わるクロスロード

幕間には弾き語りコーナーや、往年のメンバー・櫻井大介さんと馬場一人さんとの3ピースでのスペシャル・セッションを挟んで、会場を昔懐かしい空気に包みつつ、「エンドロール」は第二部へ突入。

フリフリの衣装にポニーテールで再登場した初音さんですが、転換時にロングヘアーの頃の映像を流していたせいで、デビュー当時の姿に生まれ変わったように見えたのは私だけでしょうか・・?

ポップソング中心に、中盤を盛り上げる勢いはヒートアップしていましたが、特に印象的だったのは「迷路」「R347」「コウサテン」の3曲が続く、名付けて『コウサテン』メドレー。

歌手になるために大阪から上京してきた初音さんにとって、東京=渋谷の雑踏。渋谷のハチ公前は、初音ソングの中でも象徴的なスポットなのです。(「エンドロール」パンフレットより)

前に進む元気をもらえるのがこれらの楽曲の共通点ですが、『道』がテーマの曲が多いのも、初音ソングの特長の一つです。オーディションで上京した時に、ハチ公の場所が分からなくて一人で泣いたエピソードを紹介しつつ、渋谷のスクランブルに込めた特別な思い入れを語る初音さん・・。

思えば、今回のステージでは舞台上手を重鎮メンバーが、下手を若手の通称『愉快メンバー』が固めるという、かなりユニークな編成。バイオリンのMIZさんが上手で、ギターのひぐちけいさんが下手というのは、通常であればあり得ないポジションなのです。

10年の歩みを凝縮した今回のワンマンライブ「エンドロール」は、ライブそれ自体が過去と現在を繋ぐ『交差点』だということを、その形から表したかったのかもしれません。(そういえば第一部・第二部共に、初音さんの正面で衣装が交差しているデザインでした)

明日へ向かう方舟

さらに転換を挟んで、三度ステージに現れた初音さんは、柄の入ったゴージャスなドレスに身を包んでいました。そんな艶やかな姿で歌うのは、現在制作中の4thアルバムに収録予定だという新曲「月」。

デビュー当時からの初音作品を連想させるキーワードが次々に登場するこの歌は、まさに10周年の締めくくりに相応しい一曲でしたが、祈りを込めるように歌う初音さんのボーカルはうっとりするほどの夢見心地・・。

会場で限定販売されていたニューシングル「月」。ジャケットのイラストを手がけた漫画家のnaruさんは、「水の中で恋をした」のMVでも作画を担当されたそうです。

夜空に輝く月に願いを託しながら、10周年のその先へ向けた旅路を彷彿させるものがありました。そして、「また逢いたい」でいったん幕を閉じた後は、アンコールで四度目の登場。

最後は、初披露となる新曲「水の中で恋をした」で、初音さんにとっての王道・ラブソングの新境地を垣間見せつつ、バンドライブでお馴染みの「Party night」で盛り上がり、大円団の中フィナーレとなりました。

そして季節は実りの秋へ

全編を通して、ステージでは堂々のパフォーマンスでしたが、MCでは相変わらずのゆるゆるトークだったのも初音さんらしいところ。今回は前代未聞のハプニングも多かったのですが、そんな所も「エンドロール」ならではのご愛嬌だったのかもしれません。

半年越しの目標を達成したのも束の間、「これが区切りだとは思ってない」と語っていた初音さんですが、それもそのはず・・。ワンマンの準備と並行して、ニューアルバムの制作も佳境に入っていたそうだから、片時も歩みを止めるわけにはいかないのでしょう。

当日のライブ会場限定で販売されていたニューシングル「月」は、今年の6月〜7月にかけて行われたヒトリラツアー2018で販売された「refrain〜nowadays〜」と同じく、制作中の4thアルバム収録予定曲から先行リリースされたもの。

今年に入ってから2枚の先行シングルが発売されるなど、初音さんの新作が徐々にその形を表し始めています。

この日の会場で、満を持してニューアルバムのタイトルと、10月発売という情報が発表されたので、前作「風は君の答えを待っている」から3年ぶりとなるフルアルバム発売まで、いよいよ秒読みとなりました。

今回のライブで共演した豪華メンバー全てがレコーディングに参加するなど、今まで以上に多くの人が関わっているという話ですが、それもここ最近の初音さんの交友関係の広がりがあってのことでしょう。

会場で上映された新曲「水の中で恋をした」のMVでも、イラストとコラボするなど新しい試みで注目を集めているだけに、アルバムを始め、収穫期を迎えた初音さんの活動がどんな形に結実していくのか、今から楽しみですね。

鋭意制作中の4thアルバムのタイトルは「水彩とカミナリ」。初音さんらしい独特の言語感覚に、想像力をかき立てられますね・・。

初音アニバーサリーワンマン「エンドロール」セットリスト

第一部

  • refrain〜nowadays〜
  • ユメタビ列車
  • 恋、花火
  • あした晴れたら
  • 恋に出逢った夏
  • アカイ糸
  • 毒りんごと○○
  • ずっとずっとすきだよ
  • となりあわせ

第二部

  • ホントはね
  • エスケープ
  • 迷路
  • R347
  • コウサテン
  • 負けないココロ
  • 君が教えてくれたこと
  • A DAY

第三部

  • また逢いたい

アンコール

  • ありがとう
  • 水の中で恋をした
  • Party night

初音アニバーサリーワンマン「エンドロール」メンバー

  • Vo.&Gt. 初音
  • Gt. 馬場一人、ひぐちけい
  • Ba. オギノメリョウ
  • Dr. ナガシマタカト
  • Key. 櫻井大介
  • Vn. MIZ

初音LIVE&イベントスケジュール

3rdアルバム「風は君の答えを待っている」の購入はこちらから
ミニアルバム「恋ノート1」の購入はこちらから

関連記事

関連リンク