「恋ノート1」初音・ミニアルバム-時を越えて紡がれた想い出のラブソング集

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初音さんの新作ミニアルバム「恋ノート1」が12/1に発売されました。3rdアルバム「風は君の答えを待っている」から約半年ぶりとなる今度の作品は、その名の通り『恋』がテーマ。淡い恋心を描いた曲から、切ないバラードまでが揃った、個性豊かなラブソング集に仕上がっています。
実はこの「恋ノート1」の収録曲は、初音さんが子供時代に書き綴った歌を大人の目線から新たに作り直したもの・・。ピュアな片想いの気持ちが詰まっていながら、洗練された歌声と上質なアレンジで紡がれる世界観には、誰しも懐かしい感動を覚えずにいられないのではないでしょうか?

始まりは『コドソン』から

初音さんは16歳でメジャーデビューしているので、それだけでも十分早咲きだと思いますが、なんと小学5年生の頃から作詞・作曲を行っていたのだとか・・。そんな子供時代に作った曲たちは、地元の路上ライブでは頻繁に歌われていたそうですが、そのほとんどはデビュー後にCDとして発表されることはありませんでした。

そんな子供時代の初音ソングが再び陽の目を浴びるきっかけになったのが、初音さんのワンマンライブ・初音茶屋で恒例となっている『コドソン』コーナーです。この「初音茶屋」の立ち上げ当初、何かワンマンライブだけの特別な体験を提供したい、という思いから企画を練っていたところ、あるスタッフさんの提案で、子供の頃の曲を上演してはどうか?という話になったそうです。

全ての曲のモチーフは初音さん自身の学校時代の中に・・。(「恋ノート1」フォトブックレットより)

それから初音茶屋では、入場時にトランプで当たりを引いたお客さんだけが『おしながき』に書いてある曲目から1曲を選び、それを初音さんがその場で弾き語りで演奏する、という『コドソン』コーナーが生まれたのです。

今や通算40回を越える初音茶屋で、すっかり定番となっている『コドソン』コーナーは、初音さんにとってアマチュア時代を思い出し、初心に立ち返る瞬間と言えるかもしれません。そして、ライブに通うファンにとってもまた、決して音源化されることのない曲に立ち会えるという意味で、極めて特別な時間だと言えるでしょう。

「恋ノート1」収録曲紹介

そんな『コドソン』の中から一部の楽曲をピックアップし、新曲として作り直したのが今回のミニアルバムですが、まずはYoutubeに公開されているトレーラー動画を見ながら、純粋な気持ちで聴いてみてください。収録されている全6曲(ボーナストラックを除く)を、ひと言ずつコメント入りで紹介してみました。

また、あした

まだ付き合ってはいないけど、仲良しの男の子と一緒に帰る下校時間をテーマにした一曲。募る恋心を細やかに描いていて、聴くと「あの頃」のほっこりした優しい気持ちに立ち返れます。『チャイム』の音や、アレンジの楽器選びなどに、学園生活を彷彿させる仕掛けが散りばめられている点にも注目。

空に向かう花

野球部員に恋する少女を主人公にした一曲。放課後のグランドにあの人の姿を追い求める主人公の視点から、湧き上がる想いと試合の躍動感とが、生き生きと表現されています。初音さんの力強い歌声が、作品に深い味わいを与えていると言えるでしょう。

となりあわせ

隣のクラスの男の子に恋する少女のお話。学生時代ならではの片想いの心境を見事に描き出している作品ですが、物語風の歌詞と曲展開が大きな特徴です。綿雲を見ながら空想をめぐらす夢見がちな主人公は、空が好きな初音さん自身のイメージともよく重なりますね・・。

小さな芽

太陽や月たちが物語の主役となって恋する二人を見守っている、というファンタジックな設定が微笑ましい作品。耳に心地いい親しみのあるメロディーラインも魅力ですが、初音茶屋でおなじみ馬場一人さんのギターが優しい音色を添えています。

瞳をみつめるだけで

心の距離が離れてしまった幼なじみとの関係を描いたラブソング。切ない想いがありありと伝わって来るのですが、豪華なアレンジと情熱的なボーカルが相まって、涙なしでは聴けない一曲に仕上がっています。冬の季節にぴったりの極上のバラード。

ずっとずっとすきだよ

運命的な恋に身を任せる少女の心情をドラマチックに歌い上げた作品。壮大な冬の星空の描写が印象的ですが、ピアノ一つで多彩な表情を作り上げる初音さんの演奏テクニックにもぜひ注目してみてください。

懐かしのアルバムをめくるように

さて、各楽曲の雰囲気が少しは伝わったかと思うのですが、いかがでしょうか?私がこのCDを手に取って聴いてみた最初の感想は、「とても子供の頃に作ったとは思えない」というものです。

それもそのはず・・。今回「恋ノート1」の制作に当たって、初音さんはただ楽曲の音をアレンジするだけでなく、25歳の大人になった現在の自分の目線から、歌詞や曲そのものを再構成しているというのです。

その細かい編曲のプロセスは、私たちには知る術がありませんが、甘酸っぱい少女の恋心を描いているシーンであっても、初音さんのボーカルが一貫して『大人』っぽい歌声で歌われていることからも、そんな彼女の眼差しを感じ取ることができるでしょう。

想い出を振り返りながら紡がれた「恋ノート1」の曲の数々。(「恋ノート1」フォトブックレットより)

初音さん本人の実話が多く含まれているという『コドソン』ですが、当時の気持ちを振り返りながらその一つ一つに手を加え、想い出を愛おしむような優しい歌声で、再び生命を吹き込んでいったのではないでしょうか?

その意味では、「恋ノート1」の全ての曲の中には、主役となる幼い少女と同時に、大人になった彼女の姿が重なり合って存在しているのかもしれません。ぜひ皆さんも、「恋ノート」という一冊のアルバムのページをめくるような、昔懐かしい気持ちで耳を傾けてみてください。

時を越えて紡がれるアンサンブル

もう一つ注目したいのが、一口にラブソングと言っても、それぞれの曲が実に個性豊かなテイストに仕上がっているところ・・。例えば「となりあわせ」では、好きな人の前で空回りばかりしてしまう女の子の日常がユーモラスに伝わってきますが、「瞳をみつめるだけで」や「ずっとずっとすきだよ」などのシリアスな曲を聴くと、思わず胸が張り裂けそうな気持ちになります。

そんなバリエーション豊かな作品世界を裏で支えているのが、今回の音源化で初めて『コドソン』に加えられることになった、絶妙なアレンジの数々・・。学生時代の気持ちを思い出させるような、温かい雰囲気を生み出したり、情感溢れるダイナミックな演出をするため、様々な『音』が重ねられています。

スタッフクレジットからも、初音さん自身がプロデユースとアレンジを兼ねていることが分かります。

今は事務所等に所属することなくフリーで活動しているため、以前であればプロデューサーやアレンジャーが担当していたであろう役割も、全て自分でこなしているという初音さん。前作の「風は君の答えを待っている」では、初音茶屋でも関わりの深いMIZさんがアレンジに参加していましたが、今回の「恋ノート1」ではほとんど一人でやり遂げている点も、大きな特色と言えるでしょう。

初音茶屋では、キーボードの弾き語りスタイルでしか上演されてこなかったので、このアルバムのアレンジは私たちファンにとっても新鮮なものですが、初音さんが言うには「最初から頭の中にイメージがあったので、あまり迷わなかった」とのこと。作曲者自身がその作品の世界観を大切にし、最後までこだわって丁寧に作り上げたという意味でも、このアルバムは珠玉のコレクションと言えるのかもしれません。

想い出のラブソングを探して

さて、ここで「恋ノート1」と、初音さんの他の作品とのつながりを見てみましょう。

初音さんがフリーでの活動を開始して、最初にリリースしたシングルが「風ノート1」。そして、「風ノート1」と「風ノート2」の楽曲を中心にまとめたのが、その間の活動の集大成とも言える3rdアルバム「風は君の答えを待っている」です。

私は最初、「風ノート」に続く次の新シリーズは、『夢ノート』にでもなるのかな・・?と勝手に予想していたのですが、フタを開けてみると今度は「恋ノート」ということで、『コドソン』という初音さんの原点に立ち返るシリーズとなりました。

初音さんの新たな活動の軌跡である「風ノート1」と「風ノート2」。

実際「風ノート」シリーズには、夢を追い続ける主人公を扱った作品が多く、「風ノート」の裏のテーマ自体が『夢』だったと言えるのかもしれません。そして、初音さんの歌の中でしばしば『夢』と対になって登場するのが、『想い出のラブソング』や『懐かしのメロディー』といったフレーズです。

“懐かしいメロディ 想い出のLOVESONG
現在と向き合い 何かを見つけた
その瞬間に感じたことがある
新しい旅には 楽しい想い出は邪魔になるだろう”
〜「ユメタビ列車」より〜

“生き抜くことばかりで 大事なもの忘れてないか
流れる時の中で もう一度あの日のメロディー”
〜「R347」より〜

「ユメタビ列車」の歌詞に出てくる『想い出のラブソング』とは、一体どんな曲なのでしょう。仮に、この歌の主人公を初音さん自身に重ねてみると、彼女にとって想い出の恋の歌とは、本人が子供の頃に作った『コドソン』だった、という可能性もあり得るのではないでしょうか?

「恋ノート」から「風ノート」へ

では、想い出のラブソング=コドソンだったとすると、初音的主人公にとってそれは一体どんな存在なのでしょう?高校卒業と同時に、アーティストとしての活動に専念するため、単身上京した初音さんにとって、子供の頃の曲たちは、地元大阪で過ごした青春時代と切って切り離せないものだと考えられます。

そんな故郷との別れのシーンは、「風ノート1」に収録されている『旅立ちの風』の中で象徴的に描かれています。この曲は、新たな人生へと臨む主人公の旅立ちの一日をテーマにした作品ですが、ひょっとすると大切な人との別れを惜しむ歌だったのかもしれません。そして、夢を追うために、想い出がたくさん詰まった故郷を後にするという、『恋の想い出』との決別を示唆する作品でもあるのでしょう。

恋ノート1」のジャケット中面にプリントされた夕日の写真。(この写真は初音さんのinstagramにもアップされているものでした)

ところで、「恋ノート1」のジャケットからCDを取り出すと、中面に綺麗な夕日の写真がプリントされていました。夕焼けや空が好きな初音さんらしい素敵な演出ですが、この写真、『旅立ちの風』の歌詞に出てくる風景をどこか彷彿させないでしょうか・・?

“赤い地下鉄地上に飛び出して 淀川過ぎて
沈みゆく夕日 画面に残した 変わらないでいてね
次の駅を過ぎたら 未来が私を待ってる”
〜「旅立ちの風」より〜

また、この写真の下には「The sroty continues…」という文字が添えられていますが、この言葉が表しているのは何なのでしょう?単純に捉えるとそれは、「恋ノート2」へ続くよ、という意味なのかもしれません。

ですが、夕日の写真を『旅立ちの風』の歌詞の内容となぞらえるなら、『恋の想い出』から『夢の旅路』へ続く、つまり「風ノート」は「恋ノート」の続編だという風に捉えることもできるのではないか・・。初音さんの歌を聴きながら、ふとそんな想像を巡らせてみたりしました。

物語の続きはライブ会場で

さて、そんなわけで私の個人的な解釈を書いてみたのですが、「恋ノート1」の楽しみ方は他の作品との関連性だけではありません。子供の頃に生まれた歌だけに、それぞれの曲の背景には、初音さんの青春時代を象徴する多彩なエピソードがあるのです。

例えば、片想いの歌ばかりが多いのは、内気な性格で自分から告白できなかったからだそうですが、そんな裏話を聞くと思わずほっこりさせられますよね。また、独特なコード進行が印象的な「ずっとずっとすきだよ」は、なんと小学6年生の時に作った作品なのだとか・・。

あまりの独創性の高さに、とてもそんな時代の曲とは思えなかったのですが、そう聞くと小学生ならではのチャレンジ精神の現れとも思えるし、幼い頃だからこそ「ずっとずっとすきだよ」なんてセリフがストレートに言えるのかもしれません。

歌詞カードには初音さんが撮影した日常のスナップが・・。この写真の裏側にもたくさんのストーリーがあるかもしれません。

そんな、歌の『続き』の物語たちは、ぜひ皆さんも初音さん自身の口から聞いて欲しいと思います。恒例のワンマンライブ「初音茶屋」や、他の出演ライブへ足を運べば、「恋ノート1」の収録曲を全く違ったアレンジで聴けるだけでなく、曲にまつわるトークもたっぷり楽しむことができるはず・・。

そして、長くライブに通うファンの中には、楽しみにしていた『コドソン』のレパートリーが減ってしまったことを、残念に思う人もいるかもしれません。でも、それはお気に入りの曲が立派に巣立ってくれたと思って、温かく祝福することにしましょう。

もう初音茶屋の『おしながき』に載ることはなくなってしまったけれど、「恋ノート」に収録された曲たちは、私たちの心の中の『おしながき』に、これからもずっと残り続けるのですから・・。

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