11/29に川崎のセルビアンナイトで開催された初音さんのワンマンライブ「初音茶屋vol.46」へ行ってきました。『想い出の恋の歌、ここにあります』というサブタイトルが付いたこの日のイベントは、新作「恋ノート1」の発売記念ライブ。
ニューアルバム収録の甘く切ないラブソングをムード満点に披露しつつ、他にも新たな仕掛けやチャレンジが満載でいつも以上に大盛り上がり・・。今年最後の『初音茶屋』にふさわしく、集大成と言える完成度の高いステージでした。
目次
何度訪れても新しい「初音茶屋」の魅力
今回は12/1にリリースとなったミニアルバム「恋のノート1」の発売記念ライブということだったので、選曲も恋の歌が多く、全体的に落ち着いたトーンになるのかな・・?と思っていたのですが、1曲目の「ホントはね」から元気いっぱいの演奏で、そんな先入観を一気に吹き飛ばしてくれます。
この「ホントはね」は初音さんのデビュー当時の代表曲の一つで、これまでもライブでは様々なバージョンで演奏されてきましたが、今回はバイオリンMIZさんこだわりのアレンジで、当時のアルバムに入っている音源を限りなく再現することを目指したのだとか・・。
その後に続く3rdアルバム「風は君の答えを待っている(通称:風君)」の収録曲メドレーでも、初音さんが「今までとまた違ったアレンジに挑戦してみました。」と語っていた通り、かなり斬新なセッションが繰り広げられ、すっかり圧倒されてしまいました。
「ユメタビ列車」ではいつもより重厚感が強く、「A DAY」はいつもよりアップテンポに、そして「毒りんごと○○」はメロディーのトーンまでもがいつもとどこか違っていて、まるで別の曲を聴いてるかのような新鮮さがあります。
この『風君』シリーズは、アルバム発売後の「初音茶屋 vol.43」以降、何度かワンマンライブでも聴いているのですが、その度に毎回何か新しい趣向を凝らしてくるので、なかなか通うのが止められません。
『恋の音』は過去への扉
ライブが中盤に差し掛かると、いよいよ「恋ノート1」のパートへ突入。まずは、「瞳をみつめるだけで」をピアノソロでしっとりと披露した後、カバー曲などのコーナーを挟んでから、再びチーム初音のメンバーが加わり、ミニアルバム収録の残り5曲を通しで聴かせてくれました。
『恋ノート』シリーズは元々、初音さんが子供の頃に作った曲を手を加えずに歌うという、初音茶屋おなじみの『コドソン』コーナーから始まった企画です。そんな学生時代の作品を書き直し、新たに発表しようと思ったきっかけは、他ならぬ初音茶屋ファンの熱いリクエストがあったからではないでしょうか・・?
初音茶屋歴が浅い私でも、いくつか聴き覚えのある曲がありましたが、今回のCD化に伴うアレンジで、全く新しい作品にバージョンアップされていました。特にバイオリン・ギター・パーカッションが加わった豊かなアンサンブルで奏でられると、たちまち情感たっぷりの物語世界に惹き込まれてしまいます。
初音さん自身の実話を元にした、片想いの想い出ばかりを描いた恋模様は、誰しも心の中の甘く切ない感情を呼び覚まし、懐かしい学校時代の風景を思い描かずにはいられないでしょう。
私は隣のクラスの子を想う「となりあわせ」や、下校時間の風景を描いた「また、あした」が特に好きなのですが、初音茶屋の空間で聴くと、さながらタイムトラベルをしているような夢見心地が感じられました。
五感で聴くイマジネーションの調べ
さて、今回の初音茶屋ではもう一つ新たな試みがありました。パーカッションの豊田稔さんの所にクリスマス風の電飾がジャラジャラと吊り下げられていたのですが、これこそ初音さんが仕込んだ『新兵器』・・。
「今回は照明をちょっと工夫してみました」ということで、初音さんやスタッフさんにとっても、うまくいくかドキドキの企画だったようですが、一部の楽曲の演奏時に照明を極限まで暗く落とし、イルミネーションの灯りだけを浮かび上がらせる、という演出です。
この仕掛け、実はアンコールで上演された「クリスマスカード」の時にも使われたのですが、なんと初お披露目した時の演目はクリスマスの歌でも、冬の歌でもなくて、初音さんの定番ソングである「恋、花火」だったのです。
このちょっと意外な選曲には意表を突かれてしまったのですが、よくよく耳を済ませて集中していると、キラキラ光る灯りが、夜空に散りゆく花火に見えてくるから不思議です。これは、儚さを描いたこの曲の中で、初音さんが最も伝えたかったシーンに他ならないでしょう。
その他、『恋ノート』シリーズの中でも異色な存在感を放つ「ずっとずっとすきだよ」でも、この光の演出が使われました。ドラマチックな雰囲気のこの歌では、イルミネーションが冬の夜空に輝く『無数の星々』としての役割を果たしています。
この豊かな発想力こそが、初音さんの作品世界にも通じるイマジネーションの賜物だと思うのですが、あえて視界をシャットアウトすることで、より深く曲のイメージに入り込める、画期的な試みだったと思います。
そして恋物語は続く・・
ライブ後半では、スタンディングスタイルとなり、人気の「R347」→「君が教えてくれたこと」メドレーへ突入したり、最後は久しぶりの楽曲となる「負けないココロ」を、今後の意気込みを込めて聴かせてくれたりと、ラストまで大盛況の中での終幕となりました。
ここで個人的に注目したいのは、『恋ノート』メドレーの次に「旅立ちの風」が演奏されたこと・・。今回は、この日のライブのテーマを象徴するかのように、ワクワクするような明るいテイストにアレンジされていたのですが、なぜこの曲が恋の歌パートの最後に入れられていたのでしょうか?
初音さん自身の体験をベースに、故郷を離れ上京する主人公の心情を描いた「旅立ちの風」ですが、実はこの歌は『恋ノート』シリーズとつながりが深く、この曲自体も一種のラブソングと言えるのではないか?と思えるのです。
そんな、恋ノートと「旅立ちの風」の不思議な関わりについては、ミニアルバム「恋ノート1」の紹介エントリーの中で、他の曲の感想と合わせて、もう少し詳しく掘り下げてみたので、よろしければそちらもぜひ合わせてお読みください。
初音茶屋 vol.46 セットリスト
- ホントはね
- 迷路
- 恋、花火
- ユメタビ列車
- A DAY
- 毒りんごと○○
- 瞳をみつめるだけで
- りんご色(コドソンコーナー)
- 蒼いフォトグラフ(松田聖子さんのカバー)
- また、あした
- 空に向かう花
- 小さな芽
- となりあわせ
- ずっとずっとすきだよ
- 旅立ちの風
- くつずれ
- R347
- 君が教えてくれたこと
- 負けないココロ
- クリスマスカード(アンコール)
- B.F.F(アンコール)
この冬、初音ソングに出会うには?
この日は12/1の一般発売に先立って、会場先行販売となった「恋ノート1」をいち早くGETし、新しい音源が聴けるのを楽しみに家路に着きました。また、これら恋ノートの楽曲や「クリスマスカード」がようやく解禁となったことで、今後のライブでもたくさん聴けるようになるかと思うと、そちらも楽しみです。
初音さん唯一のクリスマス・ソングである「クリスマスカード」は、昨年の12/25に開催された「ピアノショコラ -JustX’mas-」で初めてサプライズ上演されたきり、長らくライブではお蔵入りになっていました。今年は無事クリスマスシーズンを迎えることができたので、今月開催される初音さんのライブや、12/24に青山で開かれるXmasイベント「月夜茶屋」でも、この素敵な曲を耳にすることができることでしょう。
初音さんの魅力を知るには、もちろん今回ニューリリースされた「恋ノート1」や、「風は君の答えを待っている」などのアルバムを聴いてもらうのもいいのですが、やっぱりサービス精神満点の初音さんならではの、ライブを生で聴いてもらうのが一番いいと思うのです。
初音茶屋では重鎮として活躍し、「恋ノート1」でも味わい深いギターを奏でてくれているチャンババこと馬場一人さんが、年末辺りどこかのライブでひょっこり顔を見せるかも、なんて情報もあるのだとか・・。ぜひ皆さんもお楽しみがいっぱいの、年末年始の初音さんのスケジュールをチェックしてみてください。
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初音LIVE&イベントスケジュール
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