3/26に渋谷PLUGで開催された初音さんのワンマンライブ「ハツネバル」へ行ってきました。「ハツネバル」とは、初音さんがこの春新たに始動させた、全く新しいスタイルのアコースティック・ライブ。
「初音茶屋」とは一味違った大人っぽい空間を目指したそうですが、得意のボーカルをしっとり聴かせることに重点を置いた編成は聴き応え十分。シンガー・初音としての新たな顔を予感させてくれる、満足度の高い初公演となりました。
目次
「ハツネバル」が生まれるまで
高校生の頃にメジャー・デビューを果たし、今年で活動10周年を迎える初音さん。2010年からずっと続けてきた恒例のワンマンライブ「初音茶屋」は、『カフェのようにくつろげる空間』をイメージして名付けたそうですが、当時その他の候補として「初音バー」というネーミングも上がっていたのだとか・・。
まだ10代だった初音さんにとって、「バー」はさすがに似合わないという理由で却下されたそうですが、それから7年を経た今、ちょっとオシャレな「バル」というネーミングに変えて、再び「初音バー」が帰ってきたのです。

「今の私なら少しはバーが似合う女になったかな?」というのが本人のセリフですが、今までのライブよりも大人っぽい雰囲気を目指したのだそう。アコースティックなのは「初音茶屋」と同じですが、キーボード+バイオリンという一風変わった編成で、弾き語りをすることが多い初音さんがボーカルに専念する点も大きな特長です。
とはいえ、ただライブを聴くだけでなく、ふらっと「バー」に立ち寄るように、ゆったりくつろげるというコンセプトは共通・・。相も変わらずほんわかした初音さんの関西弁トークで、知らぬ間にほっと癒やされてしまう空間なのです。
ちょっと大人な初音のライブ空間
そんな全く新しいスタイルの新企画でしたが、発表当初からその反響は上々。早くもチケットがソールドアウトするなど、ファンの間からも高い人気と注目度を伺わせていました。
ここ最近はバンドライブが多かった初音さんにとって、今年初のアコースティック・ワンマンだったこともありますが、やはりその透明感のある歌声から、アコースティックでこそ聴いてみたいという、期待の声も少なくなかったのではないでしょうか?
少し前にリニューアルオープンしたという会場の渋谷PLUGは、大きなバーカウンターが目を引くオシャレな空間で、まさに「ハツネバル」の名前にはぴったり。所狭しと全国から詰めかけた観客たちが、ワクワク感に包まれながら開演を待ちわびていました。

颯爽と舞台に現れた初音さんは、ゆったりとしたドレス風の衣装に身を包み、いつになく大人っぽい印象。メンバーのにしのえみさんが奏でる、大らかで品のあるキーボードの音色から始まった1曲目は「くつずれ」・・。
ポップテイストの溢れる明るい楽曲からのスタートになりましたが、いつもと違ってシックで艶のあるアレンジに、たちまち惹き込まれます。今までとは一味も二味も違う「初音」のステージに、会場は早速の拍手喝采に包み込まれました。

歌姫が紡ぐ魅惑のストーリー
続く「砂」では、一転してしっとりしたバラードを聴かせたかと思えば、学生時代に作った楽曲集「恋ノート1」から、青春時代のラブソングを立て続けに披露しました。普段は、どこかあどけなさを残している「恋ノート」の楽曲も、この日のステージでは洗練された感情の機微まで伝わってくるから不思議です。
それもそのはず・・。「初音茶屋」など、他のライブではキーボードも自ら担当することが多い初音さんが、「ハツネバル」ではメンバーに演奏を任せられるので、ボーカルに集中することによる表現力が段違いなのです。
言葉の一つ一つを愛おしむように歌い、全身を使って想いの丈を表現する様子は、まさしく「歌姫」そのもの・・。アコースティック・ライブで、そんな凛とした立ち姿を見せるのは珍しかっただけに、その美しさも際立っていました。
初音さんのデビュー曲「恋、花火」のMV。その壮大なストーリー性は、ライブで聴くとさらに感動もひとしおです。
さらにこの日は、デビュー曲の「恋、花火」と、その続編に当たる「モノクロの空」をメドレーで演奏したり、壮大なストーリーをギュッと圧縮してショートバージョンにまとめた「卒業〜また会おうね〜」など、物語性を重視したセットリストだったのも特長的。
新たな立ち位置で、歌手としての才能を昇華させた初音さんに、バイオリンのMIZさん、キーボードのにしのえみさん、という経験豊かな演者が加われば、手に取るように作品の世界観が伝わってくるのは、言うまでもないでしょう。
「初音」から「ハツネ」への変容の刻
初音さんのライブではおなじみの、ちょっと多めのトークでは、それぞれの曲が生まれた当時のエピソードを語りながら、自らの歌手人生を振り返るという、新旧のファンにとって興味深い話がたくさん聴けました。
そして、昨年末から何度か上演されてきた新曲を、いよいよ待望のアコースティック・バージョンで初披露。珍しく緊張を隠しきれない初音さんでしたが、初めての編成ということもあり、また作曲時のデモに近い形で披露することに、まだ一抹の気恥ずかしさがあったのでしょう。
そんな杞憂をよそに、初音さん自らギターを奏で、コーラスを交えたアレンジは斬新で、深みのある歌詞とメロディーを引き立たせる効果も抜群。ストレートな言葉がじんわり心に響き、勇気づけられる新曲の魅力を改めて堪能できました。

気になる新曲のリリースは、もうすぐ発表できそうとのことなので、ぜひそちらも心待ちにしたいものですね。初音さんにしては珍しく「絶対買ってください!」と語気を強めていただけに、その完成度は間違いなく期待していいと思います。
アンコールでは思い出深い「ホントはね」を弾き語りで披露し、「ありがとう」でファンへの感謝の気持ちを新たにした初音さん。そんなところにも、記念すべき今回の公演に当たって、自らの原点に立ち返る気持ちが現れていた気がします。
通算50回を数える恒例の「初音茶屋」に加え、「ハツネバル」という全く新しいスタイルを身に着けた初音さん。経験と年齢を重ねた彼女にしかできない、一皮剥けた魅力を存分に見せつけてくれました。10周年イヤーとなる今年は、他にも色々な企画を計画中だそうなので、ぜひ皆さんも注目してみてください。
ワンマンライブ「ハツネバル」セットリスト
- くつずれ
- 砂
- となりあわせ
- 瞳をみつめるだけで
- 恋、花火
- モノクロの空
- つよがりソレイユ
- 旅立ちの風
- ユメタビ列車
- また逢いたい
- it’s just love(MISIAさんのカバー)
- 卒業〜また会おうね〜
- サクラサク(未発表曲)
- 新曲(タイトル未定)
- B.F.F.
- ホントはね(アンコール)
- ありがとう(アンコール)
ワンマンライブ「ハツネバル」メンバー
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