東京の今を記録するフォトマガジン「TOKYO / JAPAN」に参加させていただきました。

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EINSTEIN STUDIOが発行しているフォトマガジン「TOKYO / JAPAN -FEB 2016-」に参加させていただきました。「TOKYO / JAPAN」はオリンピック開催に向けて刻々と変わりゆく、東京の姿を記録することをテーマにした、参加型の写真集です。今回、私の写真は一枚だけ掲載されているのですが、オフィシャルオンラインストアAmazonの他、蔦屋書店など一部書店でも販売されているので、興味のある方はぜひ手に取ってもらえると嬉しいです。

誰でも参加できるフォトマガジンの魅力

TOKYO / JAPAN」では、その月に東京で撮影された写真をテーマに、毎月掲載作品を募集しています。その条件さえ満たせば、プロ・アマ・年齢問わず、誰でも審査料無料でエントリーできるので、気軽に参加できる点が魅力です。

私も前から気になっていたのですが、ちょうど2月にスカイツリーに行った時に、珍しく東京らしい写真が撮れたなと思ったので、何点かピックアップして応募してみました。審査を通過して、掲載が決まった場合は掲載料(1枚につき5400円)が発生しますが、掲載希望数もこちらから指定できるので、その点も良心的と言えるのではないでしょうか?

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さて、エントリー後に掲載のオファーをいただいたので、そこから正式にデータの入稿を行いました。特に私の場合、普段iPhoneでしか写真を撮らず、印刷することもほとんどないので、その辺が不慣れだったのですが、解像度やカラー設定などをきちんと設定する必要があります。(エントリー時点では低解像度版でOKです)

現在は、新企画キャンペーン中ということで、参加者に何冊か献本を送ってくれるのも嬉しいポイント。発売に先立って、いち早く本誌を手に取ることができるのですから、これは醍醐味がありますね。また、募集・エントリーから発行までのプロセスが1ヶ月というスパンの中で行われているので、参加する側としてもすごくリアルタイム感を感じることができました。

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44人のフォトグラファーが織り成す群像劇

実際に献本いただいた本誌を開いてみると、ゲストアーティストを含め、多数の参加者が捉えた東京の姿が、リアルに映し出されていました。見応えのある作品も多く、「こういう切り口もあるのか」と思わず感心させられましたが、どの写真も2月に同じ街で撮られたものだと思うと、なんだか不思議な感じがします。

これは、この雑誌のコンセプトを知った時から興味を持っていた点ですが、1ヶ月という期間を区切ることで、エッジの効いたライブ感の強い写真集になっていると思います。基本的には会ったこともない複数のフォトグラファーたちが、時と時間を同じくして『東京』という題材に向き合い、共同作業で一冊の本を作り上げた、というイメージが近いのではないでしょうか?

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参加した立場から見ても、自分以外の人が撮った写真には、色々な気付きがあり、新鮮な発見がありました。同じ時期に同じ街で撮影されたにも関わらず、こんなにも違った視点や出来事があり、またその背景にはそれぞれの個性的なストーリーがあったんだ、ということに純粋に驚かされるのです。

東京以外の地域に住んでいる人が見たら、リアルな東京の空気が感じられるに違いありませんが、普段東京で暮らしている人にとっても、新たな発見がたくさん詰まっている一冊だと思います。誰もが一度は訪れたことがあるであろうこの街の風景を、ぜひ様々な視点や物語を通して、改めて体感してみてください。

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変わりゆく東京の風景を残す意味

元々、開発の手が入りやすい大都市・東京では、最近写真に撮った場所が、いつの間にかその姿を変えている、ということも珍しくありません。東京オリンピックの開催で、そんな変化の波にさらに拍車がかかっていることは間違いないでしょう。

今回、掲載してもらった私の写真は、スカイツリーの展望台から見下ろした東京の街並みです。ブロックが並べられたように見える画一的なこの風景も、4年後には全く違った形に組み替えられているかもしれません。

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この写真を撮った日にも、そんな変化の一端を感じる出来事があったので、最後にそのエピソードを紹介しておこうと思います。2013年までイブニングで連載していた「なりひらばし電器商店」という漫画は、数十年後の未来を描いたレトロフューチャーSFですが、すでに陳腐化した存在として作中にスカイツリーが登場します。

さらにこの作品には、『塔街通り』という架空の商店街が登場し、昔ながらの下町の風景が出てくるのですが、これは過去の写真を頼りに調べたところ、「押上通り商店街」という場所をモデルにしているようです。

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この日、初めてスカイツリーを訪れた私は、この漫画に出てくるレトロなアーケードが見たくて、その辺りに足を伸ばしてみたのですが、最近の開発で取り壊されてしまったようでした。多くの人にとって思い出深い風景が、すでに写真や漫画の中にしか残っていない・・。そんな現実がすでにあちこちで起こっているのです。

まとめ

さて、そんな風に激動の波が押し寄せる東京の現実に対して、フォトグラフィーという観点から一石を投じることを目的とした本書。一人一人の視点から紡がれるリアルな記録を、雑誌という形で残し続けることは、大きな意味がある気がします。

「TOKYO / JAPAN」は、Amazonや一般の書店でも取り扱われる他、国会図書館にも納本され、半永久的に保管されるそうなので、今後も多くの人の目に触れる機会がありそうです。

若手写真家の輩出を目指してコンペなども手がけるEINSTEIN STUDIOでは、今後も毎月、本誌の掲載作品を募集しています。興味のある方は、ぜひ気軽に参加してみてはいかがでしょうか?私も、またこれぞという写真が撮れたら、再び応募してみたいと思っています。

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