フォトテクニック デジタルに掲載されました。

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昨年末頃から本格的にカメラを始めて、ポートレート撮影を中心にアマチュア・カメラマン活動をしてきましたが、先月発売の「フォトテクニック デジタル」9月号の読者投稿ギャラリー・ポートレートビギナー部門に作品が掲載されました。

初の写真雑誌掲載を終えて

カメラを本格的に始める前は、カメラ雑誌にも詳しくなかったのですが、「フォトテクニック デジタル」はどちらかと言うと今流行りのポートレートに振り切った内容が多く、投稿コーナーにもポートレート・ビギナー部門やオンライン「ポートレート」フォトコンテストがあったりと、掲載枠が充実しているのも特長です。

そんな中で、全国のポートレート愛好家の登竜門と言えるポートレートビギナー部門での掲載でしたが、写真雑誌に作品が掲載されるのは初めてだったので、率直に言って飛び上がるほど嬉しかったです。普段、Twitterなどに散々公開している写真でも、いざ紙面に印刷されて全国の書店に並んでいると思うと、絵も言われない気持ちになるから不思議ですね。

掲載された写真は今年の6月に撮った写真で、奥ゆいさんというモデルさんに撮らせてもらった作品です。約6ヶ月というポートレート歴の中で一番よく撮らせてもらったモデルさんで、この日も楽しく撮影できた作品だっただけに、とてもいい思い出になりました。

講評はやや辛口ですが、ビギナー部門だけに各応募者のレベルアップを意識して助言してくれているのだとか。載せていただいただけでもありがたいのですが、アドバイスを真摯に受け止めて今後も精進したいと思います。

ポートレートの魅力に導かれ

私がポートレート撮影に興味を持つようになったのは、ゆいさんを始めとするモデルさんたちの写真をTwitterで見かけたのがきっかけです。それ以前から、インスタでお洒落なポートレート写真が流行り始めていたので、自分もそんな写真を撮ってみたい気持ちはありましたが、撮影会モデルという存在を知ったことが、それをグッと身近にしてくれました。

いわゆる被写体活動をしているモデルさんは、有償または無償で直接依頼を受けているフリーの方も多いのですが、撮影会に所属することでカメラマンとのやり取りをカジュアルに行うことができます。何かとトラブルも起きやすい界隈なので、モデルさんにとっても安心ですが、私のような初心者カメラマンにとってもとっつきやすいシステムです。

初めて撮影したポートレート写真。(model: ゆかさん)

そんな被写体モデルさんを集めた撮影会は、毎週末のようにどこかで開催されているので、イメージに合ったモデルさんを見つけたら、あとはネットで予約するだけでOK。こんなに手軽に参加できるのだから、思い立ったらあなたもすぐにポートレート撮影が始められますね。

そう、カメラさえ持っていれば・・。その頃の私はiPhoneメインで写真を撮っていたので、まともな一眼カメラさえ持っていなかったのです。

カメラ初心者が雑誌掲載されるまで

それでは、カメラ初心者だった私が雑誌コンテストに掲載されるまでの紆余曲折を振り返ってみたいと思います。
あまり参考にならないかもしれませんが、もしこれからポートレート撮影を始めたいという方がいましたら、二の轍を踏まないよう他山の石にしてもらえたら嬉しいです。

カメラを買う

日常スナップや風景写真ならまだしも、ボケやアップを活かしたいい感じのポートレート写真をスマホで撮るのは難しそうですし、そもそもちゃんとしたカメラを持っていないと撮影会に参加するのも気が引けそうです。

カメラについては全く詳しくなかったので、初心者向けで低価格のミラーレス機から入ろうという程度の判断で、昨年発売されたソニーのα6100を選んだのですが、結果的にはこれでも十分に活躍してくれました。

ただ、色々とカメラのことを知った今にして思えば、フルサイズ含めた他の上位機種の強みやメリットもよく分かるので、予算が許せばあえてお金に糸目をつけず、ハイスペック機から始めるのも有りかもしれません。

ソニーα6100は、電池の持ちもよく、α7やα9といった上位機種とも操作系が統一されているので、フルサイズ機への移行にも困りません。

レンズを買う

当時はちゃんとした一眼カメラを買えば、いい感じの写真が撮れるだろう程度の知識しかなかったのですが、こと『ボケ』に関してだけは、そう簡単にはいきません。

最初はα6100のズームレンズキットに付属していた標準レンズで試し撮りしていたのですが、相当距離を置いて撮らないと、他のカメラマンさんが撮っているようないい感じのボケは出ませんでした。

ズームレンズ「E 55-210mm F4.5-6.3 OSS」で撮影したポートレート。(model: ゆかさん)

それでも、その頃はF4〜5ぐらいのズームレンズでポートレートを撮ってたのだから、やればできるものですね。。綺麗なボケを出したいのだったら、F1.8とかなるべくF値の小さい単焦点レンズを買いましょう。

スタジオ撮影でモデルさんを撮るなら35mmぐらいで寄って撮るのもいいのですが、ちょっと離れるとボケが出にくいので、私は中近距離どちらもいける50〜55mm(換算75〜80mm)のレンズ一本でやっています。

私が愛用している「FE 50mm F1.8」。高いレンズに二の足を踏んでいる人をターゲットとしているため、いわゆる『撒き餌レンズ』と言われていますが、性能面は問題ありません。

モデルさんの撮り方を学ぶ

とりあえずカメラの使い方は分かったものの、いざモデルさんを前にすると、どう振る舞っていいか戸惑うものです。最初は世間話から始めてモデルさんの心を和ませるのは鉄則ですが、私のように撮り始めると夢中になって、つい口数が少なくなってしまう人も多いのではないでしょうか?

そんな方にオススメなのが、ストアカで定期的に開催している「きいろろ先生講座」。ポートレートに特化した少人数での写真教室なので、同じように勉強中のカメラマンさんと一緒に実践的な技術を学べます。

「きいろろ先生講座」では、ポーズやロケーションから選び抜いた状況で、実践アドバイスが受けられます。(model: 奥ゆいさん)

モデルさんとの接し方から、的確な指示の出し方などを細かく教えてもらえるだけでなく、他のカメラさんがどんな風に撮っているか知ることができるので、非常に参考になります。

それ以外にも、絶好の撮影スポットを巡りながらガイドしてくれるのも大きな魅力です。撮影の場数を踏むまでは、どこで撮っていいか分からず、ロケハン(撮影スポット探し)にも一苦労するので、そういう意味でも学びが深いですね。

マニュアル露出を覚える

私も最初は「絞り優先」で撮っていたのですが、これは露出(明るさ)に関してオートの設定なので、どうしても暗めに写ってしまい、レタッチに頼らなければならないケースもしばしば・・。

きいろろ先生講座でも「マニュアルで撮った方がいい」と言われたので切り替えたのですが、マニュアルだとシーン毎に自分で明るさを調整できるので、慣れれば思い通りのイメージで撮れるようになります。

マニュアル露出を使いこなすことで、明るく綺麗な写真を撮れるようになります。(model: 奥ゆいさん)

『絞り』『シャッタースピード』『ISO感度』と3つもパラメーターがあるので、最初はテンパりそうになりますが、ポートレートを撮る限り絞りはほぼ開放で撮ることが多いし、ノイズが出るからISO感度も100からなるべく上げたくない。

そうするとシャッタースピードで露出を調整するぐらいしかないので、思った以上に組み合わせはシンプルなのです。むしろ日中の屋外だと明るすぎてシャッタースピードMAXでも白飛びすることがあるので、NDフィルターだけは持ち歩くようにしましょう。

光量を抑えるNDフィルターの他、光の反射を除去するCPLフィルターや紫外線をカットするUVフィルターがセットになった商品。2000円台から入手できます。

ストロボ撮影を覚える

クリップオンストロボは、メーカー純正にこだわらなければ2000〜3000円台から入手可能。2台あれば簡単に多灯ストロボも実現できます。

ストロボと言うと夜間や暗所で使うイメージが強いのですが、これも初心者が陥りやすい先入観の一つでした。天井や壁バウンスすれば室内撮影で活躍しますが、むしろ日中の屋外でもほんのり照らすとモデルさんの顔にかかった影を飛ばしてくれる美白効果があるのです。

この辺は「はじめてのクリップオンストロボ」という本が詳しいのですが、この本を読んでから私もポートレート撮影には必ずストロボを使う前提で、いつも持ち歩くポリシーに切り替えました。

マニュアルで露出調整することもそうですが、さらにストロボを併用することがイメージ通りの絵を撮影することに繋がり、その後のレタッチの工程で大幅に作業を軽減してくれるのです。

日中ストロボを活用した作例。JPG撮って出しの無加工ですが、肌が綺麗に写っています。(model: ゆかさん)

レタッチテクを覚える

写真のレタッチにはLightroom CCを使っていますが、最初は一枚一枚フィーリングで色調補正をして、Photoshopで肌レタッチ、さらにスマホアプリでフィルターをかけるといった手順を踏んでいましたが、いくら時間があっても足りませんでした。

ポートレートの場合、撮影データをモデルさんにお渡しするという慣習があるので、あまり仕上がりをお待たせする訳にはいかないし、枚数をガッツリ削るのも忍びないのが心情でしょう。

最近では一回の撮影で約200枚撮って、150枚ほどはお渡しというボリュームになっているので、遅かれ早かれ自分なりに効率的なフローを確立する必要があるのです。

同じシーンで撮影したカットは、同じプリセットといった括りで一括処理していきます。

私が行き着いたのは「ポートレートRAW現像レタッチ入門」という本に書かれている、プロのカメラマンさんが使っているプリセットをベースにしたレタッチ法です。まず、撮影状況に応じた基本プリセットで当たりをつけてから、微調整して同じシーンで撮った写真にプリセットを適用(編集設定のコピー&貼り付けでも可)。

こういったフローで、大量生産のレタッチ加工のリズムに慣れていけば、日々溜まる一方の撮影データを淡々と処理していくことができますね。

プリンターを買う

ここまでで大体、撮ってSNSにアップするまでの作業は問題なく対応できますが、雑誌などのコンテストに応募するとなるともう1ステップ必要です。フォトテクニック デジタルCAPAといった写真雑誌のコンテストでは基本的にプリント応募となっています。

もちろん、銀塩プリントを始めとした高品質のオンラインプリントのサービスも色々と提供されているのですが、試し刷りのできない一発勝負では著しく色のイメージが違った場合、郵送の手間もあるのでリカバリーができません。

雑誌応募用に購入したキャノン「PIXUS XK60」。プロ写真家向けにはA3ノビ対応の上位モデルもありますが、雑誌応募だけならこれで十分でしょう。

雑誌コンテストならA4サイズで問題ないので、そこそこハイスペック機種のプリンターを導入しておきましょう。SNS全盛の時代なので、プリントする機会は減る一方ですが、「プリントすると写真が上手くなる」という言葉もあるように、プリントしてみて始めて気付かされる点も多いのです。

雑誌コンテストは月例で毎月募集しているので、一ヶ月の中で一番よく撮れたと思う数枚を必ず応募する、という風に自分にルールを課すといいでしょう。スケジュール的には結構きついですが、撮るだけでなく自分の写真を選定し、きちんと仕上げるまでの総合的が力が鍛えられるのではないでしょうか?

コンテスト応募用に印刷する際は、SNSに投稿するものとは違った微妙な露出や色味などの調整が必要になります。

ポートレートという名の箱庭

雑誌掲載が一つの区切りということで、約半年のカメラライフを振り返ってみたら長文になってしまいましたが、いかがだったでしょうか。なにしろこの分野では若輩者なので「それは違う!」というものがありましたら、ご指摘いただけると助かります。

ポートレート撮影についてはまだまだ道半ばで、新たにチャレンジしたいこともたくさんあるので、これからも肩の力を抜きつつ取り組んでいきたいと思います。他の頑張っているカメラマンさん達と同じ紙面で競演できるのは楽しいので、また雑誌にも掲載できるといいですね。

CAPA 9月号の方にも、次点ということで名前とタイトルだけですが、掲載していただいています。

この界隈にしばらく関わってみて思うのは、モデルさんも本当に真剣に撮影に向き合ってる方が多く、頭が上がらないということです。貴重な休日を丸々撮影会に充ててるだけでもすごいと思いますが、衣装からポージング、イメージ作りなど日々頭を悩ませている人が少なくありません。

また、そんなモデルさん達の人生の移り変わりも早く、諸行無常の流れを感じることも増えてきました。今回掲載された作品のモデルをしてくれた奥ゆいさんは、最近芸能事務所に所属してタレント活動を開始されています。

今までとは違った環境になりますが、そんな彼女の活躍に負けないように、自分らしい作品作りを模索し続けたいものですね。

※ポートレート写真は基本的にTwitterInstagramの方にアップしているので、よろしければそちらもチェックしてみてください。

奥ゆいさんがグラビアデビューを飾った8/5発売のヤングジャンプ 36・37合併号。今後の活躍にも乞うご期待です。

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