11/1にベルサール神田で開催されたWordCamp Tokyo 2015「コントリビューターデー」に参加してきました。1日目の本編に続いて、2日連続の参加となりましたが、セッション中心の前日とは打って変わって和気あいあいとした雰囲気・・。
みんなでコミュニティへの貢献を実践してみよう、というテーマのイベントだったのですが、WordPressに詳しいメンターの方々のおかげで、作業を通して勉強になる部分も多く、実りの多い体験をすることができました。
目次
コントリビュートって何?
WordPressはオープンソースのソフトウェアなので、開発自体も有志の手によって行われているのですが、プログラムが書けない人でもWordPressコミュニティに貢献する方法がたくさんあります。
例えば、WordPressの使い方を解説したドキュメントを日本語に翻訳したり、フォーラムで初心者の質問に回答したり、といったことも立派な貢献活動です。また、WordPressのことをブログに書いて紹介したり、地元で仲間を集めて勉強会を開催することも、コミュニティを発展させる上で大きく役立つことでしょう。
そうは言っても、最初はどうやって始めたらいいのか分からないという人も多いと思います。そんなコントリビュート活動の第一歩として、まずはみんなで一緒にやってみよう!というのが、この「コントリビューターデー」のコンセプトです。
まずは班分け!
「コントリビューターデー」は、本編と同じベルサール神田で開催されましたが、メイン会場だった大ホールではなく、2つのセッションルームをぶち抜いた部屋で行われました。
前日よりは、ややこじんまりとした印象ですが、島ごとに机を向かい合わせにしてみんなで集まっているので、落ち着いた作業モードといった感じです。よくコワーキングスペースなどで開かれている勉強会に近い雰囲気でしょうか・・?
最初にスタッフの方からオリエンがあった後、どんな『班』があるのかという、班ごとの説明に移りました。今回のコントリビューターデーでは、「翻訳」「Codex」「フォーラム」「パブリッシング」「コミュニティ」「テーマ」「プラグイン」「コア」の8つの班に分かれて作業することに・・。
私は以前、WordPressのドキュメントであるCodexのサイトをちょっとだけ翻訳したことがあったので、最初は「翻訳」か「Codex」班に参加しようと思っていたのですが、前日の石川さんのセッションを聞いて『テーマレビュー』というものに俄然興味が湧いてきたので、急遽「テーマ」班に参加することにしました。
テーマレビューって何?
テーマ班ではテーマの制作を行う「テーマ制作」班と、テーマのレビューを行う「テーマレビュー」班の、さらに2つの班に分かれることになりました。ところで、テーマレビューとは何でしょう?
WordPressでは、サイトのデザインを変更するためのテンプレート=「テーマ」を、誰でも自由に作成して配布することができます。作ったテーマを最も多くの人に使ってもらう方法が、WordPressの公式ディレクトリに掲載してもらうことです。
公式ディレクトリに掲載されたテーマは、WordPressの管理画面から検索して簡単にインストールすることができるので、確実に多くのユーザーの元に届けることができますよね。
公式ディレクトリに掲載してもらうには、レビュワーによる審査をパスする必要があるため、きちんとしたルールに従って制作する必要があるのですが、そのレビュー自体も有志によるボランティアで行われています。つまり、誰でも他のユーザーが申請したテーマをチェックする『レビュワー』になることができるのです。
今日からあなたもレビュワーの仲間入り
テーマレビュー班のメンター(指導役)��、プラグインの開発者としても有名な西川伸一さんが担当してくれました。西川さんは、通常のレビュワーがチェックした後に、最終チェックを行う『キーレビュワー』としても認められている方なので、いわばテーマレビューのプロと言えます。
そんな西川さんが最初に教えてくれたのは、レビューの初め方。英語版のWordPress公式サイトを開いて「Get Involved」→「Themes」→「Review」へ進むと、ページの左上に『Review a Theme』というボタンがあるので、これをクリックします。すると次の瞬間、あるユーザーが投稿したテーマの詳細が書かれたページヘ移動して、「Owned by」という欄には私のアカウント名が書かれていました。
これは、「このテーマのレビューをあなたが担当することになったよ」という意味です。テーマのレビューは誰でもすることができますが、どのテーマをレビューするかは選ぶことができません。なので、このようにランダムでマッチングされて、担当するテーマが決まるんですね・・。あまりに簡単に参加できてしまうので、ちょっと拍子抜けしてしまいました。
『チケット』と呼ばれるこのページでは、掲示板のようにコメントを投稿できるようになっていて、一つのテーマに関するレビューのやり取りは、このページの中で行うことになります。さて、レビュワーになる方法は分かりましたが、ここからきちんとレビューを完了させないとならないので、責任重大です。
テーマレビューの流れとポイント
まずは、チケットのページにテーマファイル一式が添付されているので、このzipファイルをダウンロードします。次に、ローカルにWorsPressの環境を作って、このテーマをインストールすることになりました。
私はVCCWを使って新たに環境をセットアップしましたが、MAMPPなど他のツールを使っても構いません。ローカル環境の作り方が分からない人には、西川さんが手取り足取り教えてくれていました。WordPressに関する習熟度は人ぞれぞれですが、レビューするには英語力なども必要なので、各自の得意分野を活かして貢献すればいい、というお話でした。
環境ができたら、ローカルのWordPressにテーマをインストールして表示チェックをしたり、といったところから作業を始めます。その際、テーマの動作確認に便利な『テーマユニットテスト』用のデータが公開されているので、これを活用します。このテストデータをインポートすると、あらゆるタイプの投稿データが再現されるので、テーマの表示チェックが簡単にできるのです。
その他、テーマチェック用の便利なプラグインや、チェックするべき必須項目のリストなどは、森山真祐子さんの手で日本語の翻訳版も公開されている、テーマレビュー用の「Contribution Handbook」を参考にしてみてください。(英語版のTheme Review Handbookはこちら)
そしてコントリビュートは続く
その後、一通りの項目のチェックが終わったら、最後は全ファイルのソースコードに目を通すことになるのですが、私もそこまでの作業は当日中に終わらなかったので、残りのレビューの作業は宿題として持ち帰ることに・・。
ソースのチェックとなると、さすがに専門的な知識が必要になってきますが、逆に言うと、それ以前のページの表示チェックや、ライセンス表記の確認などは、誰にでもできる作業です。
最終的なチェックは、よりWordPressに精通したキーレビュワーが担当してくれるので、そこは安心してお任せするとして、少しでも彼らの負担を軽減するために、私たちがレビュワーとして協力する意味は大きいのではないでしょうか?
ここで、コントリビューターデーの続きに取り組みたい人や、この記事を読んで興味を持った方に朗報です。「WordPressもくもく勉強会」を主催している小林由憲さんが、新たに「WordPressコントリビュート勉強会」を立ち上げたそうです。第1回は来月12/6(日)にコワーキングスペース茅場町 Co-Edoで開催予定。みんなと一緒にコントリビュート活動をやってみたい方は、ぜひ参加してみてください。
まとめ&感想
さて、午前中から夕方まで、そんな感じでもくもくと作業を続けていたので、かなり密度の高い1日となりましたが、お昼休みには班のみんなで一緒にご飯を買い出しに行ったり、休憩を取りながらお互いのことを語り合ったりと、楽しく交流することもできました。何より、西川さんや石川さんを始め、WordPress界隈では有名な方もたくさん参加されていたので、一緒に作業する中で勉強させていただく部分が多かった気がします。
最後に、班ごとにその日行なった活動の結果を発表したのですが、他の各チームでもそれぞれの成果は目覚ましかったようです。テーマの制作や公式ディレクトリへの申請を達成した人や、その日のうちにプラグインを作って公開した人などもいて、楽しい話題が付きない発表会となりました。
私自身は、今までWordPressのテーマをカスタマイズしたことはあったけど、公式ディレクトリ向けのテーマを制作するには勉強しなければならないことが多く、難しそうに感じていた部分がありました。そこで、テーマレビューを体験すれば、『採点官』の気持ちを知ることができるので、テーマ制作のコツを掴む近道になるのではないかと思ったのです。
結果としては、まさに予想通りで、レビューに通りやすいテーマ制作のポイントがだいぶ分かってきました。さらに、人が作ったテーマを隅々まで見ることで、テーマの仕組みもよく分かり、テーマ制作に対する苦手意識が克服できた気がします。今度はぜひテーマ制作の方で、WordPressへのコントリビュートにトライしてみたいと思っています。