書評:Webサイト、これからどうなるの?

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Web制作の今と未来にまつわる最新トピックをコンパクトにまとめた解説書「Webサイト、これからどうなるの?」を読みました。フロントエンド回りの新技術をおさらいするのにも最適な本書。
UI/UXやWebマーケティング関連など、個人的にはこれまで斜め読みしていたキーワードも多かったのですが、包括的な知識をアップデートすることができました。

Web制作の『今』を正しく見据えるために

本書の第一章では、HTMLやCSS、JavaScriptといったWeb制作者に馴染みの深いトピックに関して、ここ数年の最新動向をざっと総ざらいすることができます。

単にトレンドと言った観点だけではなく、それぞれの技術がどのような変遷を辿り、今どういう岐路に立たされているのかが一望できる流れになっているのが、分かりやすいポイントです。

JavaScriptの新仕様であるECMAScript 2015以降は、毎年新しい機能がリリースされています。

例えば、CSSやJavaScriptでは、PostCSSやBabelなどのツールを使って、ブラウザ実装前の仕様を利用するスタイルが一般化しつつありますが、なぜそのような手法に行き着いたのかを、きちんと押さえておく意味は大きいでしょう。

また、今や群雄割拠とも言えるCSSやJavaScriptのフレームワークについても、Webの人気記事でよくありがちな扇動的な紹介ではなく、あくまでフラットな視点で概観できる構成になっているので、実際の現場で導入する際に役立つのではないでしょうか?

制作者にも欠かせないWebの周辺知識

第二章以降では、Webディレクション、SEO・Webマーケティングのセクションへと続き、フロントエンドに携わる私にとって、直接関わりの低い領域についても知識を深めることができました。

カスタマージャーニーマップやペルソナなど、近年のUX回りで人気のキーワードも、正しく手法として取り入れることで、Webサイトの企画・構築に活かせることが分かります。

プロトタイピングツールとして有名なUX Pinからは、高度なデザインシステムを構築するためのツールも提供されているのだとか・・。

さらに、スタイルガイドやデザインシステムなど、本格的に運用するためには、チームを通じた理解や意識の共有が欠かせないことも、本書を読めば明快になることでしょう。

個人的には『オウンドメディア』など、独り歩きしている感のあるキーワードについても、Webと人との関わり方の変化という文脈で捉えることで、その存在意義を再確認することができました。

Webの未来を切り開くためのガイドブック

私が本書を読んで最も危機的に感じたのは、Webとアプリの境界が急速になくなって来ているという事実です。

それはPWA(Progressive Web App)などのトレンドに限定された話ではなく、HTML5の仕様自体がアプリ的な方向へとシフトしている点も、見逃せないポイントでしょう。

React Nativeに代表されるように、本来はWebと思われていた領域から、アプリ向けのツールが続々と提供されています。

デザイナーやエンジニアなど、Web界隈に携わる者として、めまぐるしく変化するここ数年先の未来に、どんな職能・職域にキャリアアップするべきか考えるのは、死活問題ではないでしょうか?

私自身、日頃から自分がやっていることがWebなのかアプリなのか分からなくなって来ていますが、ますますクロスオーバー化する『これからのWeb』の未来が、本書を紐解くことで、おぼろげながら浮かび上がって来るかもしれません。