5/9に東大本郷キャンパスで開催された「Scratch Day 2015 in Tokyo」に行ってきました。Scratchは、コードが書けない子供でもゲームやアニメーションが作れるブロック・プログラミング・ツール。「Scratch Day」は、世界規模で行われている年に一度のScratchの祭典です。
今年で初の参加でしたが、出展やプログラムともに興味を惹かれる内容が多く、大人も子供もモノ作りの熱気で包まれているのが印象的でした。来年以降は、親子共にもう少しScratchの経験値を高めてから、また参加してみたいなと思いました。
Scratchとつないで遊べるセンサーボード
Scratchのことは、「子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい」を読んでから知り、その後、たにぐちまことさんの「いちばんはじめのプログラミング」を教材にしながら、小学1年生の息子と一緒に勉強中といった段階ですが、「Scratchのイベントがあるよ」と教えたら、息子も興味を持ったようだったので、連れ立って行ってみました。
会場に入ると、まずは入口付近でScratchアカウントを記入してもらった名札シールをGET。その後、その近くでやっていたScratchとセンサーボードを使ったデモに、早速息子が夢中になっていました。MacとUSBで繋いだセンサーボードに、光センサーや音センサー、スライダーなどが付いていて、Scratchの画面の中のキャラクター(Scratch Cat)の動きとリアルタイムで連動します。
これは「なのぼ~ど」という低価格のScratch対応センサーボードで、「ちっちゃいものくらぶ」さんが販売しているのだとか・・。また、センサーボードの機能とは直接関係ないのですが、Scratchの画面をプロジェクターに映していたので、子供でもよりリアルにデバイスが連動している様子が感じられたようですね。
その後、メインホールでは、セッションやプログラミングバトルが行われていたようなのですが、息子はその奥の床スペースで開催されていたレゴブロックの体験コーナーにすっかり夢中に・・。レゴとモーターを組み合わせて、Scratchで動かすという企画だったのですが、かなりの数の子供がこのエリアに釘付けになっていたようでした。
その隣では、先ほど話に出た「ちっちゃいものくらぶ」さんが、「なのぼ~ど」と組み合わせた自律型ロボットの展示をしていて、Scratchを使った操作のデモも体験できました。このロボットも、様々なセンサーを搭載していて、きちんとプログラミングすれば、障害物を検知して自動的に迷路を進んでゴールしたり、といったことも可能だそうです。
「なのぼ~ど」には興味があったし、無線で動かせるロボットはかなり遊べそうだったので、「なのか~」と呼ばれる組み立てキット(4000円)を購入してみました。うまく組み立てや設定ができたら、こちらも追ってレポートしたいと思います。
Scratchを使ってジャンケン大会
その後、お昼の休憩を挟んで、午後からメインホールで行われた全員参加ワークショップへ参加しました。講師は「小学生からはじめるわくわくプログラミング」の著者で、Scratchの第一人者でもある阿部和広さん。
子供にもやさしく分かりやすい語り口はさすがという感じでしたが、この日は来場者が手持ちのノートPCやiPadでScratchの操作を体験し、その場でパラパラ漫画を作るというワークショップを行いました。
プログラム的には、復数の背景をランダムに切り替える、というだけの処理なのですが、「隣の人と絵のパーツをつなげてみよう」とか、グー・チョキ・パーの手を書き込んでジャンケン大会をしよう、といった巧みなアイデアで会場全体がワイワイと盛り上がっていました。
残念ながら、ジャンケン大会の賞品「Raspberry Pi」はGETできませんでしたが、息子もScratchへの興味を増したようでした。うちの息子の場合、今はプログラミング・ブロックを操ることよりも、ドローツールを使いこなすことに腐心しているようですが・・。
Scratchで動かせるロボットたち
さて、ワークショップが終わると、息子の興味は再び展示エリアの方に釘付けになったようなので、色々な出展を見て回りました。面白かったのは、マグカップなど百均に売ってるパーツで作れる「マグボット」というロボットを展示していた東京都市大学・小池研究室のコーナー。
こちらも、Scratchとセンサーボードを駆使して、ロボットの処理をプログラミングできるのですが、まるで生きてるようにしゃべったり動いたりするマグボットの姿に子供たちは夢中です。息子と一緒にしばしプログラミングして、「おやすみ」と言ってからライトを消灯し、「グーグー」といびきをかいてから再び起きる、という処理を実行してみました。
「なのぼ~ど」も、Arduino(アルデュイーノ)というオープンソースハードウェアの互換ボードとして生まれたそうですが、この「マグボット」も、作り方がネットで公開されていて、誰でも作製することができるのだとか・・。こうやってハードな分野まで巻き込んで、誰でも手軽にプログラミングを楽しめるプラットフォームになりつつあるのが、Scratchの一番の魅力かもしれませんね。
そういった草の根の取り組みだけでなく、企業出展ブースでは、商品化されたプロダクトも紹介されていました。例えば、スマホと合体して動き回るロボット「Romo」は、会場でも子供の人気の的になっていましたが、アプリで命令をインプットできるだけでなく、近々予定されているアップデートでは、Scratchとの連携機能が搭載されるそうです。
まとめ
そんな、企業や研究機関も放っておけない存在になりつつあるScratchですが、今回の「Scratch Day 2015 in Tokyo」では、通常の技術系のイベントとは違って中高生や家族連れも多く、とにかく老若男女入り乱れて、「もの作り」の活気に包まれているという雰囲気が印象的でした。
小学生が自分の作ったプログラムについて堂々とプレゼンしている姿にもびっくりしたのですが、うちの息子も中学生のお兄さんが作ったゲームを楽しくプレイさせてもらって、Scratch IDの入った名刺をもらったりしていました。そんな風に、大人顔負けの社交性の高い子供が、Scratch界隈にはたくさん育っている気がするのですが、これもScratchのコミュニティが持つ力なのかもしれません。
ワークショップについては、受け入れ人数が少ないこともあって、あっという間に募集枠が埋まってしまったり、といった点が個人的にはちょっぴり残念でした。また、大盛況の「プログラミングバトル」も若干敷居が高いので、もう少し初心者向けの参加企画が充実するといいかもしれません。
例えばScratchには、人の作ったプログラムをコピーして編集できる「リミックス」という機能があるので、これを使ってオンラインで事前にワークショップの課題を出すといった企画などはどうでしょうか・・?
今後も、プログラミング教育やモノ作りブームの追い風に乗り、ますますScratch界隈が熱くなるかと思われますので、ぜひ皆さんも来年の「Scratch Day in Tokyo」または各地域で開催されるイベントをチェックしてみてください。