イベントレポート:Minecraft×Education2015~こどもとおとなのためのMinecraft~

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8/9に早稲田大学・西早稲田キャンパスで行われた「Minecraft×Education2015」へ参加してきました。『こどもとおとなのためのMinecraft』と銘打たれたこのイベントですが、二日間に渡り大小様々なセミナーやワークショップが行われるかなり大規模な催し・・。
マイクラだけでこれだけのイベントが成立してしまうことも驚きですが、かなり難しい話題がやり取りされているにも関わらず、子供も大人も垣根なく、夢中になっていたのが印象的です。マイクラキッズたちにとっては忘れられない夏の思い出になったのではないでしょうか?

会場となった早稲田大学・西早稲田キャンパスでは最新の設備が揃い、ワークショップにはもってこいの環境。
会場となった早稲田大学・西早稲田キャンパスでは最新の設備が揃い、ワークショップにはもってこいの環境。

マイクラキッズたちのリアルとバーチャルでの『出会い』

コンピュータゲームと教育をテーマにしたこのイベント。小中学生向けのワークショップが多数行われているのが特徴ですが、Redstone講座やMOD作成講座など、ちょっと専門的で高学年向けの内容が多いのもまた事実・・。そんな中で、今回は小学1年生の息子でも参加できそうな、「みんなで建築しよう!」というワークショップに申し込んでみました。

ワークショップの会場へ到着すると、各デスクにノートPCが設置された室内に、ところ狭しと小中学生が集まっていました。息子も、PCを使った講習は初めての経験だったものの、モニターに貼られたクリーパー(マインクラフトの敵キャラ)の張り紙を見ながら、『早くマイクラがしたい!』とワクワクした気持ちを隠せない様子で待ち構えていました。

このワークショップでは、いわゆるチート技やイタズラ、ゲーム内でのおしゃべりや危険な行為は禁止されていました。
このワークショップでは、いわゆるチート技やイタズラ、ゲーム内でのおしゃべりや危険な行為は禁止されていました。

ワークショップのお題は「建物を作る」こと。2名~4名のチームに分かれて、学校や病院、駅や飛行場など、くじ引きで決まったテーマに沿って、マインクラフトのブロックで建物を作ります。そして、全てのチームの建物が完成すると、一つの巨大な『町』が出来上がるというわけです。

まずは自己紹介などをしながら、チームメンバーの顔合わせを行い、その後、チュートリアル用のワールドにログインして、操作の練習からワークショップをスタートしました。皆選りすぐりのマイクラキッズとはいえ、PC版の操作には不慣れだったり、友達の家で遊んでる程度の子もいたりするので、多人数でのマルチプレイは、それ自体がかなり新鮮だったようです。

総勢80人が参加する大規模マルチプレイに子供たちは大興奮!
総勢80人が参加する大規模マルチプレイに子供たちは大興奮!

総勢80人ほどのアバターが一つの部屋に集結する形になったのですが、息子たちのチームの子も興奮気味で「お前どこにいるの?」と隣の人のキャラを探し回り、バーチャルな世界での再会に歓喜の声を上げていました。そんな感じで腕慣らしは終了。続くセッションでは、いよいよ本格的な構築フェーズへと入っていくのでした。

協同作業に『設計図』はいらない

ここで注目したいのが、各チームのデスクに配布された「設計図」という名のA3用紙。ワークショップの前半では、チーム内で話し合い、どういう建物を建てるのか決めた上で、作業の役割分担を決めることになっています。その際に、より正確な設計図を書いたチームの方が、その後の作業をスムーズに進められるのだとか・・。

息子の参加したチームは、息子を含めた小学1年生が2人、小学4年生が1人、中学2年生が1人という構成だったので、最年長の中学生の子にリーダーをやってもらうことにしました。みんなが考えたアイデアをスケッチにして持ち寄ってもらって意見をまとめたらどうか?など親がアドバイスしながら進めてもらったのですが、いざ設計図に起こすとなると、かなりリアルなサイズ感を意識しなければならない、ということに改めて難しさを感じているようでした。

上手に活用すれば、かなり精巧なブロック加工が可能となるマイクラ設計図。
上手に活用すれば、かなり精巧なブロック加工が可能となるマイクラ設計図。

結局は「10階建てぐらい」という大まかな目安を決めた段階で、実作業がスタート。リーダーが地面に並べた土台のブロックを目印に、各メンバーがどんどん壁を積んでいく形で作業を開始しました。このチームのお題は『高層ビル』だったので、作業の前半はとにもかくにも高さを出すことが重要だという判断です。

小学生の子たちは実際の総プレイ時間はそれほど長くないはずですが、慣れると見事な手さばきを発揮して、大量のブロックを次々に積んでいました。ディティールについては細かく決めていなかったのもの、リーダーがビルの入り口や受付台を作り始めると、「俺、屋上にヘリポート作るよ!」とか「俺、休憩所作ってもいい?」といった具合に、各々が自分の判断で役割分担を推し進めていたのが印象的です。

作業が始まれば、自ら役割を見つけながら、率先して動き出す子供たち。
作業が始まれば、自ら役割を見つけながら、率先して動き出す子供たち。

もちろん設計段階で綿密に詰めることで、きれいな建物を作り上げたチームもいましたが、今回のように時間の限られたワークショップでは、『設計図』以外の部分で、各メンバーがどれだけアドリブを効かせられるかがポイントだったかもしれません。みんな勝手知ったる「マイクラ」というゲームの世界での共通言語があり、手を動かしながらでも会話できるのですから・・。

『世界観』の演出が勝敗を分けるマイクラでの戦い

さて、そんな楽しい構築タイムも終わり、最後は共有スクリーンに各チームの作品を映しながら、一番よかった作品を決める投票コーナーがスタートしました。司会役の人がアバターを操り、それぞれの建物を訪れながらコメントしていくスタイルなのですが、全部で13チームもあるので、それだけでもかなりの時間がかかってしまいます。

ブロックで観覧車を作った「遊園地」チームや、飛行機をデザインした「飛行場」チームなど、見た目からして異彩を放っている作品も多かったのですが、駅で『切符』を買わないと中に入れないようにしたり、商店街でチェストに入っているアイテムの内容で『何屋さん』かを表現したりと、仕組みや体験を通してテーマを表現しているチームが多く、関心させられました。

「遊園地」を作ったチームでは、観覧車などのオブジェだけでなく、地下に通路が広がる『お化け屋敷』の演出も・・。
「遊園地」を作ったチームでは、観覧車などのオブジェだけでなく、地下に通路が広がる『お化け屋敷』の演出も・・。

息子が参加した「高層ビル」チームも、レッドカーペットが敷かれたエントランスや、水の浮力を応用したエレベーター、上空からでもひと目でビルと分かるヘリポートの『H』マークなど、創意工夫に満ちていました。残念ながら、優秀賞には漏れてしまったのですが、仲間と共に結果を見守る時間は、とても貴重な体験になったのではないでしょうか?

クリエイティブモードという、自由度の高い設定ではあるものの、「みんなで建築しよう!」ワークショップでは、コマンドブロックなどのチート技はあらかじめ禁止されていました。なので、ゲーム自体のスキルの高さというよりは、ありふれたブロックと己のアイデアだけで競わなければならなかった点が、子供たちの柔軟な発想力を引き出すのに、一役買っていたような気がします。

優秀賞を獲得した「飛行場」と、屋上のヘリポートが象徴的な「高層ビル」。
優秀賞を獲得した「飛行場」と、屋上のヘリポートが象徴的な「高層ビル」。

まとめ

コンピュータゲームとと教育という枠組みにフォーカスを当てたイベントでしたが、他のワークショップでは人気の赤石先生によるレッドストーン講座など、かなり最先端の情報交換も交わされていたようです。私も午後は@hevohevoさんの「ComputerCraft講座」を受講して、ComputerCraftの基本やタートルプログラミングの歴史などをレクチャーしていただき、非常に有意義な時間を過ごせました。

そんな大人向けの講義でも、親と一緒に参加していたり、子供だけのチームで足を運んでいたりと、真剣に耳を傾けているちびっこの姿が多かったのが印象的です。飛び交う質問も専門的で、ここには大人と子供の垣根などないと感じさせられたのですが、やはりゲームという共通言語が、世代を超えたつながりを生み出しているのではないでしょうか?

他ではなかなか手に入らないマイクラ・グッズも特別価格で販売。
他ではなかなか手に入らないマイクラ・グッズも特別価格で販売。

前節でも述べたように、マイクラであっても、参加者のレベルに応じて幅広い切り口で課題が設定できるし、やっていることは大人向けのハッカソンやチームビルディングと何ら変わりありません。子供にもモチベーションを持って取り組んでもらえる題材として、教育効果は実際かなり高いのではないかと感じました。

息子は早速チームメンバーの子と友達になっていましたが、全国的に見ればマイクラがブームだと言われてはいるものの、身近な範囲で見渡すと、まだまだゲーム仲間が少ないのも切実な実態なのです。そんな創造力あふれるマイクラキッズたちが、一人でも多く友達を増やせるよう、こういうイベントがもっと頻繁に開かれるといいものですね・・。

公式ガイドブックを手に取り、真剣に見つめるまなざしは、子供も大人も一緒・・。
公式ガイドブックを手に取り、真剣に見つめるまなざしは、子供も大人も一緒・・。

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